こんにちはー。リバーシの完全解析に孤軍奮闘しているかけるです!
はじめに
前回、Alpha-Beta法の探索を効率良く行うためにムーブオーダリングが重要であることを軽くまとめました。詳しくはこちら→【リバーシプログラム】ムーブオーダリングについて考える
ムーブオーダリングの効率向上には序盤・中盤など関係なく、どんな状態でも盤面を正確に評価できることが必要不可欠です。
そこで、今回はすでに完全解析が終わっている6×6オセロの最善手記譜を紐解き、そこから盤面を評価するためのヒントが得られればいいなと……。
6×6の縮小版リバーシ
完全解析
完全解析とは簡単に言うと、先手・後手のプレイヤーがそれぞれ最善な手を打ち続けた場合の結果を解析することを指します。そして、リバーシの完全解析は今も終わってはいません(お金の力でスーパーコンピュータを貸し切りする人が現れれば話は変わるでしょうが……。)
ただし、それは8×8盤面のリバーシの話であり、4×4や6×6のような通常より小さな盤面のリバーシの完全解析はすでに終わっています。
最善手の記譜
以下の図は6×6のリバーシで先手(黒)・後手(白)プレイヤーがともに最善な手を打ち続けた場合の記譜です。こんなページを見ているような人であれば知っている人が大半と思いますが、結果は20対16で後手必勝と判明しています。
盤面の分析
「隅は強い」「隅に隣接するマスは弱い」などは、誰しも一度は聞いたことがあると思います。
そこで、完全解析によって導き出された最善手の記譜をもとに、リバーシのコツとして俗にいわれることが多い(筆者の主観)以下について考えてみます。
石の数
下図は先手・後手それぞれの各手番で着手後の石の数を表しています。一番左の列が最善手記譜、そのほかは各手番で最善手以外に着手した場合の石の数をまとめています。また、先攻1手目についてはどこに置いても盤面は同じになるためe4のみとして扱っています。
一般的にリバーシでは序盤は石の数が少ない方が有利とされています。
実際、必勝である後手の白が4手目でe3に置いてから31手目でf2に置くまでの間、石の数は白が黒以下の状態を常にキープしていることがわかります。このことから、石の数が少ない方が有利という考え方自体は間違いないように思えます。
しかし、白の8手目のように必ずしも石の数が最小となる位置が選ばれているわけではありません。この理由については、後述するX打ちやC打ち、合法手の数といった他の評価による影響と思われます。
合法手
合法手とは石を置ける場所のことを指し、下図は黒・白それぞれの各手番で着手後の相手の合法手の数を表しています。
これは相手の合法手の数が少ない≒相手の自由度を減らすことで自分が主導権を握りやすくするという考え方です。
後述するC打ち・X打ちに相当する位置は避けられている傾向がありますが、合法手が最小もしくは、なるべく小さくなるような位置が最善手となっていることがわかります。このことから、合法手の数に着目した考え方も概ね正しいと見て良さそうと判断できそうです。
隅
隅に置かれた石は挟むことができないため、その対局中において返す手段はありません。こういった返す手段のない石のことを確定石といいます。
リバーシは最終的に自分の色の石の多い方が勝つゲームであるため、相手に確定石を与えるような置き方は不利とされています。
しかし、上記の記譜で最初に隅を獲得しているのは黒であったり、ストナーズトラップと呼ばれる考え方があることからも隅の獲得が絶対的に有利とまでは言えなさそうに見えます。
隅の周囲マス
これは先述した隅とほぼ同じ考え方で、隅を囲む3マスに自分の石があるとその隅を相手に取られる可能性が高くなるため不利と考えます。(8×8オセロで言うところのC打ち・X打ち)
この考え方があるため、対局の序盤は内側に集中するとも考えられそうです。
辺
辺とは隅および、隅に隣接するマスを除いた外側のマスを指します。
先述した隅の周囲マスほど不利になることはありませんが、意味もなく打った場合は不利に発展しやすい傾向にあります。
それが最善なので仕方のない話なのかもですが、最善手記譜でも最初に辺に飛び出したのは黒。これも白必勝が故なのだろうか……。
おわりに
今回は分析のみ。
最善手記譜で19手目でc6に置く理由がどうしても導き出せない。上述の観点で考えると、どうしてもa4の方が最善に見えるのだけど……。
試しに18手目後の局面をつくって19手目にc6、a4それぞれに置いた結果を解析してみたが、結果はc6が最善手で正しかった。
序盤・中盤・終盤で評価の重みが変わることを考慮に入れる必要がありそう?
そして、これらの考え方を8×8の通常版リバーシに応用するとなると、縦横2列増える分についても考慮する必要がある。深淵を見てしまった気がする。課題は山積み。
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